【訪問日記】3WM:車とともにカスタマーファーストなサービスをウガンダで
【アフリカビジネスプログラムinウガンダ】
今回訪問した3WMに関しては、会社のビジネスについてと、ウガンダ代表のの川地茂さんの生き方について、2回にわたってお届けする。

(3WMの玄関)
「TOYOTA !! TOYOTA !!」
初めてウガンダという国に来たとき、いきなりそう話しかけられて驚いたことを、私はよく覚えている。アフリカに対してはサバンナや農業というイメージしか持っていなかったため、ウガンダで日本の中古車がたくさん走っていることも、トヨタという名前が知られていたこともとても衝撃的だった。日本の中古車はウガンダの人々にとって質の割にリーズナブルで、物流の面でも人々の日常の足としてもウガンダでは欠かせないものになっている。
今回訪問したのは3WMという会社のウガンダ事務所だ。ここの代表はカリスマ的な魅力を放つ川地さん。徹底的なカスタマーファーストなサービスを提供するきめ細かさで、中古車販売をしている。3WMは数年前に完全に乗用車市場から撤退し、トラックなど商用車のみを販売し、商用車販売においてウガンダ内一位、乗用車を含め車市場全体でも5本の指に入る売上を誇る会社に成長している。

(車の写真)
■車ではなく、商売の基盤とビジネスのソリューションを売る
商用車の販売にこだわるのは、ウガンダの人々のビジネスを応援したい想いがあるからだ。例えば、マーケットまでの道が悪かったり遠かったりで、自分の農作物を自分で売りに持って行けない農家がたくさんいる。唯一、農作物を売るチャンスは、仲買人が来たときだけだが、二束三文で安く買いたたかれるため、弱い立場に農家は甘んずるしかない。
そのような人たちにとって、トラックとは、マーケットにアクセスするための手段であり、もっと良い価格で売るための収入増加のチャンスでもある。3WMは商用車の販売を通して、商売の基盤と、その商売を発展させるためのソリューションを価値として提供している。
■カスタマーファーストの精神をウガンダで
ところで、アフリカで中古車販売というと、どんなイメージをもっているだろうか。日本で使えないようなおんぼろ車を高く途上国に売りつけぼろ儲け、といったちょっと悪どい商売を想像する人もいるのだろうか。もしそのようなイメージを持っているならば、3WMは完全に真逆だ。全ては顧客第一で、車とともにきめ細かなサービスを提供している。

(案内をしてくれた清水さん)
■修理にだしたら壊れて返ってくる車
その大きな一つはアフターサービスだ。3WMは自社で整備工場を作り、日本から呼んできた自動車整備士を常置して、アフターケアのサービスに対応している。日本では車を買ったら、定期的なメンテナンスや、部品交換、故障修理をしてもらえるのが当たり前だ。しかし、ウガンダでは違う。そもそもきちんとメンテナンスをできる自動車整備士がほとんどいない。部品交換を頼めば、「スペアはない」と、どこにいっても断られる。故障して修理を頼めば、全く関係ないところをいじくりまわされたあげく、もとの状態より悪くなって返ってくる…。日本では信じられないことだが、ここでは日常茶飯事だ。整備工場の地面がでこぼこでなく、きちんとフラットな状態であるというだけで、「ハイクオリティな整備工場ですね!!」と言われるほどなのだから、アフターケアをできるプラットフォームを持っているということは、ウガンダではものすごいことであり、顧客にとっては圧倒的魅力のあるサービスだ。

(整備工場)
■売り手も買い手も世間も満足、三方良しなビジネス
売ったら売りっぱなしで、そのあとのことにコストをかけない会社が多い中、客のことを第一に考えたサービスを提供する。売り手、買い手の両者が満足し、かつウガンダ社会にも貢献している三方良しといった日本の商売人精神があるのが素晴らしく、同じ日本人としてとても誇らしい気持ちにもなった。
→【魅力のヒト】川地茂氏:生き方の「普通ライン」にのらずに、本気で生きる
へ続く